PR

迎賓館赤坂離宮:東京の歴史と美を訪ねて

スポンサーリンク

迎賓館赤坂離宮は内閣府の施設等機関の内の一つである。内閣府の施設等機関には二つあるのだが、もう一方は経済社会総合研究所だ。
前庭、本館主庭、和風別館が参観可能である。しかし、和風別館の参観は事前応募による当選者に限定されている。一応通年公開ではあるが、非公開の日もある。公開日時は内閣府のウェブサイトに掲載されている。

http://www8.cao.go.jp/geihinkan/

明治時代に東宮御所として建てられた迎賓館赤坂離宮は、明治以降では唯一、国宝に指定されている建物であるとされてきたが、群馬県の重要文化財「旧富岡製糸場」の(繰糸所、東・西置繭所の3棟)が2014年に国宝に指定されたため、現在2017年においては、唯一の明治以降の国宝ではなく、明治以降で最初に国宝に指定された建物ということになる。また、迎賓館和風別館「游心亭」は国宝指定ではない。国宝指定の建物は本館と衛舎である。

スポンサーリンク

迎賓館赤坂離宮の歴史的背景

江戸時代のこの場所は、紀州、尾張、水戸の徳川御三家のひとつ紀州徳川家の江戸中屋敷・赤坂邸 の庭園「西園」だった。尾張徳川家の「戸山園」、水戸徳川家の「後楽園」とともに徳川御三家の名園と言われた。
当時の様子は和歌山市立博物館が発行している『赤坂御庭図画帖』に掲載されている絵画によって偲ぶことができる。
現在の紀尾井町に2016年7月27日(水)開業した「東京ガーデンテラス紀尾井町」のあたりに、紀州徳川家上屋敷があったが、火災のため一時的に「西園」が上屋敷として使われたこともある。
明治維新後、政府がこの場所を接収し、皇室に献上した。
その後赤坂御用地として御所、宮邸が建てられた。現在、東宮御所、秋篠宮邸、三笠宮邸、三笠宮東邸、高円宮邸、赤坂東邸がある。
園遊会が行われる赤坂御苑も赤坂御用地内にあるのだが、一般には非公開である。
迎賓館赤坂離宮は、東宮御所として1909年(明治42年)に建てられたネオバロック様式の建物である。

赤坂離宮迎賓館を前庭から臨む

堅牢な建物であり、関東大震災、東日本大震災においても被害は全くなかったと言われる。壁面の最も厚位部分では180cmあるそうである
第二次大戦後には皇室から国に移管されている。
旧東宮御所は赤坂御用地には含まれない。
国へ移管後は、国立国会図書館、オリンピック組織委員会などに利用された。
その後、迎賓館として改修され、完成したのは1974年(昭和49年)4月のことである。和風別館もこの時に完成している。

迎賓館赤坂離宮 和風別館

外国人観光客にとっては和風別館はとても興味深い建物だ。昭和期の著名な建築家谷口吉郎氏の設計によるものだが、意匠を凝らした和風庭園の池には鯉が約100匹泳いでいるといわれている。ただ、この池は本来鯉を泳がせるために作られたのではない。池に張られた水のゆらぎにより、差し込んだ光の反射を美しくゆらぎを伴って広間や廊下の天井に映し出すため水盤だった。以下に鯉を泳がせることを提案したのは、第64-65代内閣総理大臣であったが、鯉が泳ぐためには深さが足りなかったため、池の改修工事が行われている。

和風別館前の池 鯉が泳いでいる

游心亭の47畳の主和室では、2016年12月11日(日)に将棋の佐藤天彦九段と千田翔太五段による第2期叡王戦決勝三番勝負第2局が行われている。
また正面玄関の渡り廊の右手の坪庭には京都の白川砂が敷かれ、貴船石が置かれている。この石は後に置かれたもので、谷口吉郎氏が設計した際には貴船石はなかった。本来この建築物に変更を加えるには設計者の許諾が必要なのだが、貴船石が置かれた時点で設計者の谷口吉郎氏は亡くなっていたため、谷口吉郎氏の意図した意匠とは異なる。白川砂だけでは物足りないので、石を置くことを提案したのは、第71-73代の内閣総理大臣である。

迎賓館赤坂離宮の周辺環境

迎賓館赤坂離宮の周辺には飲食店はない。
2020年の東京オリンピックに向けて、正門前にある新宿区立の若葉東公園の地下を掘削し、カフェや展示スペース施設等の建設計画がある。
若葉東公園は国有地の無償貸付を受けている公園である。
PFI方式(Private Finance Initiative)、つまり民間資金を利用し、これらの施設の整備が行われる予定である。
現時点で具体的な計画は公表されていないようだが、迎賓館赤坂離宮の周辺にはカフェやレストランなどの飲食施設や、休憩施設がないため、完成が待ち望まれるところだ。
2016年6月2日に内閣府のホームページで「赤坂迎賓館前公園の新施設における飲食店等運営業務の公募について」の公示が出されている。施設建設に向けての動きは着々と始まっている。

迎賓館赤坂離宮へのアクセス

アクセスはJR四ッ谷駅または東京メトロ丸ノ内線、南北線の四ッ谷駅が最寄り駅となるが、参観の際の入り口の西門まで約10分ほどである。
東京メトロの1番出口(赤坂口)からだと、距離にして西門まで550mほどだが、出口の目の前の交番を右に見て、JR中央線沿いに歩き、四谷中学校前の信号を過ぎたところの横断歩道を渡り、赤坂離宮正門前の若葉東公園の中央の道路(幅は広いが車は通れない)経由で西門に至るルートが最短である。
四谷中学校前の横断歩道を右に渡ってしまうと、迎賓館西門手前で、学習院初等科前の横断歩道を左に渡らなければならなくなるので、距離は近いが、時間はかかる。
JR四谷駅3番出口(四ッ谷口)からのアクセスだと、距離的には100mほど長くなり、新宿通りの横断歩道を渡る必要がある。

*迎賓館の公開日程は急に変更されることもあるので、twitterで確認するのも便利だ。

迎賓館赤坂離宮 Akasaka Palace (@cao_Geihinkan) on X
内閣府迎賓館の公式アカウント。お知らせ、見どころのほか、迎賓館の豆知識や舞台裏も。館長もつぶやきます。コメントは原則返信いたしませんが、ありがたく目を通しています。X運用方針はこちら⇒

コメント