株式会社新香の「新香光年」は商標登録されている。
商標登録番号は2297072だ。
商標権は10年ごとの更新で、更新は無期限である。また商標権は一般的に読み方が同じものにも権利が及ぶため、「新香光年」も「新香こうねん」も同じ登録番号である。
株式会社新香では、「新香光年」を化粧箱入りの贈答用として、「新香こうねん」を墓参用のビニールのパッケージ入りで販売している。
中の線香も多少、色や香りが異なる。


左が「新香こうねん」、右が「新香光年」色が少し異なるが、蝋付きの芯が付いている点は同じ。
ビニール袋に入っている「新香こうねん」は湿気には強いが、直射日光には弱いし、補強用の発泡スチロールの板が入っているとはいえ、カバンの中などで折れやすいと言える。
化粧箱入りの「新香光年」は5把入りなのでカバンの中で折れることはないが、墓参用としては少し大きすぎる感じだ。また湿気の影響を受けやすい。
新香光年(しんこうこうねん)は特許ではなく、意匠権を取得していた。
新香光年(しんこうこうねん)のパッケージの裏にはPAT・八一三七二九 類似意匠一号・二号の記載がある。


新香光年(しんこうこうねん)のパッケージ裏面
特許情報プラットフォームで検索すると以下の3件が、ヒットした。
・意匠登録0813729 平成3年(1991)2月14日登録
・意匠類似0813729-001 平成3年(1991)8月8日登録
・意匠類似0813729-002 平成3年(1991)8月8日登録
登録された時点では、類似意匠制度があったが、現在では関連意匠制度に変わっている。
意匠権の存続期間も平成19年4月1日以降に出願された意匠権の存続期間は設定登録日から2 0年間だが、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年間である。
新香こうねんの場合は平成3年登録だから平成18年に権利は消滅している。
以下の特許情報サイトで、類似意匠を比較してみると、
元は、「蝋を含ませた芯糸を線香の先端部中央に挿入し着火を容易にしたもの」とある。
類似意匠一号は、蝋を含ませた芯糸を束の先端部分の外側に紙の帯で固定したもの。
類似意匠二号は、線香を束ねる帯にミシン目を入れ、ミシン目に沿って添わせた糸を引っ張ると容易に帯が切断され、束の下部まで延焼しやすいというもの。
意匠登録0813729
意匠類似0813729-001
意匠類似0813729-002
新香光年(しんこうこうねん)の意匠発案者は石材店だった。
新香こうねん(光年)の意匠権所有者を辿っていけば、線香に関する特許情報にたどり着くかもしれない。
しかし、結局線香に関する特許情報にはたどり着けなかった。
そのかわり、新香光年(しんこうこうねん)の意匠発案者が石材店であることがわかった。
この石材店は倒れない暮石で特許を取得している。
特許番号 : 特許第4131721号である。
登録日は平成20年6月6日(2008年6月6日)だから、特許の有効期限の20年は過ぎていない。
しかし、特許情報プラットフォームの経過情報には本権利消滅日(平26.6.6) 閉鎖原簿移記とある。年金不納による抹消ともある。
現在、その石材店は存在しないのだろうか?Google Street Viewではたしかに石材店が写っているし、倒れない暮石、特許の文字も見える。
ただ、Google Street Viewの映像は最新とは限らない。
現地に問い合わせてみると、やはりその石材店は今は無いとのことだった。
残念。
もし営業していたら、着火しやすい線香についての着想の秘話なども聞けたかもしれない。
蝋を含ませた芯糸が線香把の中心に挿入されている商品は、新香光年意外にもある。
松蔭堂の「澪(みお)つくし らくらく着火 パート2」である。


松蔭堂の線香「澪つくし」マッチが袋に入っている
蝋を含ませた芯糸に加え、袋にマッチ箱が入っている店がユニークである。
線香とマッチと言えば、先にあげた株式会社新香が特許および実用新案出願した「束線香」がある。
数本のマッチ棒が線香の帯に巻かれていて、帯にはマッチを擦る赤燐がついているというものだ。
これだとマッチを忘れることはないが、マッチの本数が少ないのではないかと感じる。
マッチは風ですぐに消えるからだ。
その点、マッチ箱が一箱ついている「みおつくし」は墓参に行く際にマッチを忘れる心配もないし、マッチが不足することもない。
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