訪れるたびに、静かな墓地で線香の煙がゆっくり上昇し、訪れる者の心を穏やかにする。しかし、見落とされがちなのが、線香が完全に燃え尽きるまでの長い時間と、その燃え残りがもたらす問題である。今回は、この問題に対する独創的な解決法を紹介しよう。
墓前で線香に火をつけ、祈りを捧げた後、多くの人は線香が完全に燃え尽きるのを待たずに帰宅する。特に束線香の場合、根元まで完全燃焼するには40分から2時間も要することがある。次に墓参をした際に、線香立ての中に線香の根元が燃え残っているのを目にすることがある。市販のアルミ製線香立ては、見た目は美しいが、根元の線香が燃え残ってしまうという問題がある。これは、線香を固定するホルダーが空気の流れを妨げるためだ。
アルミ製線香スタンド
上の写真のような線香立ては外見的には美しいのだが、線香の燃え残りがでてしまうことが問題であるとも言える。立てた線香の根元がホルダーでカバーされているため、燃焼に必要な空気が不足するため、線香の燃焼が止まってしまうのだ。
もくじ
線香の根元まで空気が流れ込む線香立てを自作
そそこで、家庭で簡単に作れる線香立てを試みた。使用したのは、缶の灰皿と1.0mmのアルミ針金だけだ。缶の灰皿には、灰を落とすための16個の穴があるが、中心の4個はコインで塞ぐことで線香の落下を防止する。周囲には12個の空いた穴があり、線香の灰が缶の中に落ちる仕組みとなっている。
最初は金属製のビンのフタを使用したが、これでは束線香を安定して立てることができなかった。
線香を立てても倒れないように改良したが、やはり線香の燃え残りが発生した。1ミリの細い針金が空気の流れを妨げたのではなく、下からの空気の流れが無かったことが燃焼を停止させた原因だ。立てた線香の下から空気を流れ込ませるにはどうしたらいいだろうか?
ステンレス製ザルを逆さにし線香を立てて燃やす
束線香の底面に、線香の太さよりも細かい穴が空いていれば、そこから空気が流れ込むので、線香の根元まで完全燃焼するはずである。線香が通らない位の細かな穴というと、ステンレス製のザルはどうか?台所にあったザルの目に線香を通してみると、ザルの目が細かいため線香は貫通しない。これは使えそうだ。ステンレス製ザルを逆さに置いてその上に線香を立てて、針金で固定すればよい。
使用したステンレス製ザルは直径φ15センチのものだ。線香の束の直径よりかなり大きいが、灰の飛散を考えるとこのくらいの大きさがあった方がよい。そこで、ステンレス製のザルを逆さにし、線香を立てて燃焼させたところ、線香は根元まできれいに燃え尽きた。
動画では、ステンレス製ザルを逆さにして大きめの灰皿の上に置き、線香を燃焼させている様子を確認できる。線香のトップからボトムまで完全燃焼しており、ステンレスザルの上に残った灰をトレイに落として確認しても、線香の燃え残りはない。
ステンレス製のメッシュを使うことで、下から空気が流れ込み、線香が根元まで完全燃焼したことが確認できた。
線香の置き方について、縦置き?横置き?
普通は、線香を立てて燃やすことが多いが、横置きに寝かせて燃やす方法もある。市販の横置き線香スタンドは、ステンレスのメッシュを使用している点で、自作のスタンドと共通している。下からの空気の流れを確保するためにメッシュを使うのだろう。
この線香スタンドは横置きだが、ステンレスのメッシュを使用している点では、ステンレス製のザルを使用した線香スタンドと共通している。やはり、下からの空気の流れを確保するためにメッシュを使っているのだろう。
ただし、線香が過熱され炭化するときに発生するガスは上に向けて上昇する。
横に線香を置いて着火すると、左から右、又は右から左に燃焼していくことになるが、ガスはあくまで下から上に登っていく。
それを考えると、縦置きの方が理にかなっていると言えるが、横置きでも5本、6本の線香なら完全燃焼しそうだ。
しかし、線香の束(50本から60本)を同時に燃やした場合は、線香が重なるので、内側の線香は途中で消えてしまうこともあるのではないか?
丸い線香の束は、帯をほどいて横置きにすると自然にくずれるので、それほどの厚みにはならないだろう。
横置きの場合、線香をホールドしないので、屋外での使用時には風により線香自体が飛ばされることもありうる。
横置きの線香スタンドは、どちらかというと屋内での使用に適しているといえる。しかし、線香の束を同時に燃やす場合、内側の線香は途中で消える可能性がある。横置きの線香スタンドは、屋内での使用に適している。
線香の完全燃焼:伝統を守りながら革新を加える
私の試みが示したのは、伝統的な線香の使用方法に少しの工夫と創意を加えるだけで、大きな違いを生むことができるという事実である。自作のステンレス製ザル線香立てを用いることで、線香は根元から先端まで完全に燃え尽き、墓前での祈りがより深い敬意と感謝の意を込めて捧げられるようになった。この簡単なアプローチは、墓参りの際の線香の燃え残りに関する懸念を解消し、私たちが大切にする伝統と記憶を尊重する新たな方法を提供する。
この自作スタンドは、誰もが簡単に試すことができるものであり、墓前での線香の使用において一歩先を行く解決策を提示する。あとは外見上の問題を工夫する必要はあるのの、私たちの小さな工夫が、伝統的な儀式に新たな息吹を吹き込み、これからも大切な思い出を守り続けることを願っている。
【追記】この記事は、このブログに新カテゴリー「ライフハック」を作ったため、そのカテゴリーに該当すると判断し、以前書いた記事、「線香立ての革新:完全燃焼を実現する自作線香スタンド」を推敲し、補筆したものである。当ブログでは、アドレスがカテゴリーを表しているため、アドレスが変更となっており旧記事も残してあるが、そこからこのアドレスにリダイレクトを設定してある。
ちなみに、新カテゴリー「ライフハック」とは、日常生活をもっと便利で快適にするための簡単で賢い工夫やアイデアで、このカテゴリーでは、日々の生活の中で出会う様々な課題を、シンプルで創造的な方法で解決するためのヒントやテクニックを紹介する。
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