川崎市川崎区に道飛館という焼肉店がある。とても美味しい焼肉屋さんであることは、かねてから噂で聞いていた。
紅白歌手の丘みどりは焼肉マニアとして知られているが、その丘みどりをして、道飛館のハラミは日本一と豪語させた店である。
丘みどりは2018年4月27日(金)、日本テレビで放送された沸騰ワード10でこの道飛館を訪れている。
そして、誰が言ったのかは知らないが日本最古の焼肉屋だとかネット情報としてあがっている。
道飛館が本当に日本最古の焼肉屋なのか調べる方法などあるだろうか?多分ない。
要するに美味しければOKなのだ。
当然のことながら、自分で行って食べてみたいと思った。
しかし、その前に立ちはだかる壁は「遠い」ということだった。
道飛館近くの産業道路沿いに鉄道は通っているが、旅客用鉄道ではない。
JR京浜東北線の川崎駅からも遠い。(3.1km/徒歩39分)
京浜急行の川崎駅からも遠い。(3.4km/徒歩42分)
JR鶴見線の昭和駅からも遠い。(1.6km/徒歩20分)
JR南武線の浜川崎駅からも遠い(1.5km/徒歩19分)
鶴見線の浜川崎駅からも遠い。(1.5km/徒歩19分)
京急大師線の川崎大師駅からも遠い。(2.4km/徒歩30分)
このように、いくら遠いと言っても全て徒歩で1時間以内なのだが、徒歩20分以上かかる距離は、大部分の人にとって遠いと感じるはずだ。
JR川崎駅、京急川崎駅からぶらぶら歩いて行くのも楽しそうだ。途中にいろんな焼肉屋があるから退屈しないかもしれない。だが少し遠すぎる。
たが今回は、鶴見線に乗って昭和駅からアクセスすることにした。
鶴見駅は、停車駅が鶴見駅を除いてすべて無人駅というのも面白い。
鶴見線(横浜市鶴見区、鶴見駅⇆川崎市川崎区、扇町駅)は、神奈川県内の三大ローカル線のうちの1路線。
あとの2路線は、
御殿場線(神奈川県小田原市、国府津駅⇆静岡県沼津市、沼津駅)
相模線(神奈川県茅ヶ崎市、茅ヶ崎駅⇆神奈川県相模原市、相模原駅)
浜川崎駅、昭和駅のどちらからアクセスすると面白いだろうか?
結果的に、徒歩で1分ほど余計に時間はかかるが駅前に興味深い食堂がある昭和駅を選んだ。
もくじ
鶴見線に乗って昭和駅へ向かう
鶴見駅から鶴見線に乗車するのだが、改札を2回通る必要がある。
キセル乗車防止だろうか?
東京駅から鶴見駅までは、ICカード利用で388円。
東京駅から鶴見駅経由で昭和駅までは、ICカード利用で388円。
金額は同じである。
鶴見線は無料なのか?
例えば、横浜駅から鶴見駅までだと、ICカードで165円だが、横浜駅から鶴見駅経由で昭和駅までは、216円である。差額51円。
鶴見線は無料ではない。
JRの運賃体系上、鶴見線の始点の鶴見駅までの運賃と、その先の駅までの運賃同額となる場合があるだけだ。
(*東京駅→川崎駅→尻手駅(南武線)→浜川崎駅→昭和駅ルートが24.7kmで、東京駅→鶴見駅→昭和駅ルートが28.1km。このように複数ルートがある場合最短ルートの運賃が適用される。よってこの場合、普通旅客運賃の電車特定区間の21km-25km 切符390円/IC388円が適用となる。)
各駅には、簡易Suica改札機が設置されている。これにタッチしないと、出場記録が残らないので注意。
また、浜川崎で乗り換えるときには、簡易Suicaにタッチしないこと。駅を出場扱いになってしまい運賃がリセットされ、初乗り料金がかかり高額となってしまう。
切符で乗車した場合は、降車時に切符を箱に入れるだけだが、ゲートの開閉があるわけではない。
車内検札も来ない。
鶴見線の鶴見駅以外の駅から乗って鶴見駅のどこかの駅で降りるならSuicaをタッチしなくても、乗車券無しでも、乗り降りできることになるが、わざわざそんなことをする人もいないだろう。
駅周辺には、一般住宅や商店はほとんどないからだ。
2016年9月30日に昭和駅以降の駅で切符の自動券売機は撤去された。現在はオレンジ色の乗車駅証明書発行機と簡易Suica改札機が設置されているのみである。
ほとんどの人は鶴見駅で降りたり、乗り換えるのだから、切符を買わないで乗ったとしても鶴見駅で乗車駅を伝えて精算する必要がある。Suicaをタッチせずに乗った場合も同様。
昭和駅前の鄙びた食堂
駅を降りると右は昭和電工入り口なので、左に曲がり踏切を渡る。
すると、期待していた究極のきたなトラン?とも思える店が左手にあった。と、言いたいところだったのだが、、、、
・だるま食堂
扇町にある昭和駅からすぐの定食のお店
神奈川県川崎市川崎区扇町1-3
・一富士
神奈川県川崎市川崎区扇町1-3
上記二件の店は、残念ながらシャッターは閉まっているし、軒先の日よけテントは剥がれ落ちている。きたなトランの遥か彼方先まで行ってしまっているように見える。
地図上の一富士の位置には、実際には昭和電工川崎生活協同組合専門売店がある。もしかするとこれが一富士だったのか?
そして、一軒置いてそのとなり、信号機の横がだるま食堂だろうか?
食べログやRettyには、店の名前や住所が出ているのみ。一枚の写真も、一件のレビューもない。
おそらく何十年も前に消滅しているのかもしれない。
気を取り直し、信号を左折して30メートル進むと、栄和食堂がある。
栄和食堂
044-333-3882
神奈川県川崎市川崎区扇町1-1
こちらは、外見的には閉業はしていないようだが、写真の通り営業時間外のようだった。
栄和食堂も食べログに一枚の写真も、一件のレビューも出ていない。
Googleのレビューには、三件でているが、星が付いているだけでコメントはない。写真も外観のみ。
意外とレビューが少ない店や、写真が出ていない店は、隠れた名店なのかもしれない。
地元の人が日常的に利用する店なら、わざわざ綺麗な写真を撮ったり、レビューを書いてアップすることもないだろう。
グルメ系のレビューは、とかく星の数やレビューの件数で判断しがちだ。
でも逆にレビューの少ない店や、写真が全く載っていない店を探して行ってみるのも別次元のハイレベルな検索方法といえる。
京浜工業地帯のハードな青い空を見ながら道飛館へと歩く
栄和食堂を過ぎると、首都高速神奈川1号横羽線下の浜町交差点までの850メートル。この区間には店は一件もない。
南渡田運河を超える橋が少し上り坂になっており、両サイドには京浜工業地帯のシンボルともいえる煙突が見える。
煙突の向こうの青い空はとてもハードだ。ハードブルースカイとでも言うのだろうか。とても硬質な青で、見る人を跳ね返すようなパワーがある青だ。
トルーマンカポーティの小説『冷血』(原題 In Cold Blood)に出てくる”hard blue sky”とはこんな空に違いない。ハードな青空ではなく、ハードな青い空だ。青空のような気持ちを和らげる優しさ、吸い込まれるような清々しい透明感もない。強烈な厳しさを持った空の青である。
運河を渡ると川崎港郵便局が左手に見えてくる。
そして、ついにセブンイレブン川崎南渡田町店が前方左手に見えてくるとホッとする。
このセブンイレブンが昭和駅から最も近いコンビニなのである。
駅から一番近いコンビニまで800メートルとはすごい。
コンビニを過ぎると首都高速神奈川1号横羽線が上を通っている浜町交差点にさしかかる。
浜町交差点を渡らずに右折して500メートル進むと、右手に道飛館のアタックポイントとなる「つり幸」が見える。見えやすいので通り過ぎることはないだろう。
途中に、浜町四丁目バス停を過ぎると、浅野工業団地の案内板がたっており、左手の首都高速の向こう側にはファミリーマートも見える。
そして浅野工業団地の案内板を過ぎればあと350メートル、徒歩1分で「つり幸」の曲がり角に到着する。
右折して、釣り船屋「つり幸」の前に到着すれば、道飛館に着いたも同然なのだが、ここから先で迷う人が多いようだ。
ところで、釣り船屋の「つり幸」だが、
『GOOD LUCK!!』(グッド ラック)という木村拓哉主演のTBSドラマ(2003年1月19日から3月23日まで毎週日曜日)の舞台となったこともある。
「つり幸」は第1話や第2話に登場する。木村拓哉演ずる旅客機の副操縦士「新海元」の父親でいかりや長介演ずる「新海良治」が釣宿「ふな幸」の店主という設定である。
DVDも発売されているので、興味がある人は見てから現地に行くのも面白いと思う。
さて「つり幸」を見学したら、いよいよ道飛館へアタックだ。付近に商店街はない。かなり古い町並みである。道飛館が日本最古の焼肉店だというのもかなり真実味のある話に思えてくる。
さて次回はいよいよ店内突入。丘みどりの豪語する日本一のハラミとは一体どんな味なのか?
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