日本初のハンバーガーチェーン、ドムドムバーガー。最近では、「カニバーガー」や「梨バーガー」といったユニークなメニューが話題になっている。つい先日ライブ配信アプリの「Pococha」で、有名な俳優で配信者の門屋諒さんが彼の配信『諒の肩幅』で彼がカニバーガーを食べているのを見て、急にドムドムバーガーに行ってみたいという衝動に駆られた。(POCOCHA/ポコチャで諒の肩幅を見たい人は最後にリンクを貼っておくので見てほしい。)話をドムドムバーガーに戻すが、ドムドムは一時期は日本全国に400店舗以上展開していたハンバーガーチェーンだが、一時期風前の灯の27件となってから復活したバーガーショップだ。そんなドムドムバーガーに、タイからの友人Aさんを連れて行ったところ、思いもよらない展開が待っていた。
もくじ
ドムドムバーガーのユニークなメニュー
まず店に入ると、Aさんは目を輝かせてメニューを見ていた。「カニバーガー?それとも梨バーガー?」と、どれにしようか迷っている様子。私は彼にカニバーガーを勧めた。写真付きのメニューを見せると、Aさんは驚いていた。「日本ではこんなに大胆なハンバーガーがあるのか!」と。
カニバーガーと梨バーガー
実際、カニバーガーは丸ごとのカニを使用した一品で、他のファーストフード店ではまず見かけない特別なメニューだ。ごく普通に美味しそうな感じで、クリスピーな歯応えが楽しめそうだ。
そして、季節限定の梨バーガーは、瑞々しい梨が絶妙にハンバーガーにマッチしている。
どちらもドムドムバーガーらしい、個性的で店舗が近所になくても出かけて行って食べたくなるような商品だ。昔ある一時期よりは、店舗数は増えたのだが、ドムドムバーガーが一件もない県は意外と多い。例えば関東地方だと、現在東京と埼玉と神奈川に、何店舗かあるが、埼玉、茨城には一件もない。と言うか、過去にはあったのだが閉店している。
タイ語で「ドムドム」の意味は?
タイ語の「ดมดม(ドムドム)」にタイ人のAさんが気付く
注文を終えた後、Aさんは急に真剣な表情になり、私に尋ねてきた。「ところで、この店の名前『ドムドム』って、タイ語でどういう意味か知ってる?」
実は、私はその意味を知らなかった。するとAさんは笑いながら教えてくれた。「ドムドム(ดมดม)はタイ語で『クンクン臭いをかぐ』という意味だよ!」それを聞いて私も驚いた。まさか、タイ語ではそんな意味があるとは…。
確かにGoogle翻訳で確認すると以下のように表示された
タイ語でドムドムはどんな発音するのか聞いてみたい人のために音声も載せておく.
ワンクリックで聞けます。発音のイントネーションは結構違う。でも日本語ではドムドムと表記する以外ないだろう。
店員さんに尋ねてみたけど…
好奇心旺盛なAさんは、食事の前に店員さんに質問してみることに。「この店の名前『ドムドム』は、像がクンクン匂いを嗅ぐという意味のタイ語のドムドムと関係があるんですか?」と。
しかし、店員さんは困惑気味に「えっと、お店の名前の由来までは分かりませんが、ゾウのマークが使われているのは昔からの伝統です。」と答えた。どうやら、名前の深い意味については詳しく知らないようだ。
当然だし、そんなことを尋ねる客も極めてレアだろう。
本社に問い合わせてみた結果…
なぜだか気になって仕方がなかった私たちは、後日ドムドムバーガーの本社に直接問い合わせてみた。名前の由来について、創業時のエピソードがあるのではないかと期待していた。しかし返ってきた答えは、意外なものだった。「現在、創業当時のことを知る社員はもういません。名前の由来についても、はっきりした記録が残っていないようです。」というものだった。
たしかに、現在ドムドムバーガーを運営している会社は「株式会社ドムドムフードサービス」で設立が2017年である。1970年にドムドムバーガー1号店が東京の町田にできた時は、ダイエーの経営だった。その後経営が何度か変わり現在に至っているので、創業時のネーミングの由来など分かる人などほとんどいないだろう。
一般的な通説あるいは、俗説はこんな感じだ「ドムドムバーガーのロゴにゾウのマークが使われている理由は、創業当時から親しみやすさや優しさを表す象徴としてゾウが選ばれたた。ゾウは大きくて力強い動物でありながら、穏やかで温かみのあるイメージを持つため、ファミリー向けのブランドイメージと一致したことが理由とされている」などという説明が普及しているようだ。
納得のいかない説明
まあ、当たり障りのない無難な説明ではある。しかし、こんな漠然とした説明に納得ができるわけもない。
つまり、誰も「ドムドム」の名前の本当の由来を知る者がいないのだ。だからこそ、タイ語の「ดมดม(ドムドム)」と関係がない、ということになっているのかもしれない。タイ語で像がクンクン匂いを嗅ぐことをドムドムということを知る人もほとんどいないだろう。
もちろん実際の発音は先ほど載せた音声ファイルを聞くと分かるように日本語のドムドムとは異なる。タイ語は中国語と同じように声調がある。中国語は基本的に4声だが、タイ語は5声もあるからだ。
ドムドムバーガーの歴史と未来
ドムドムバーガーは1970年、日本初のハンバーガーチェーンとして誕生し、54年の歴史を持っている。日本でマクドナルド1号店が1971年7月20日に銀座でオープンしているから、日本では最も歴史のあるハンバーガーショップ、ハンバーガーチェーン、あるいはファーストフードショップということになる。その歴史の中で、ゾウのマークと親しみやすい名前が多くの人々に愛されてきた。最近では「カニバーガー」や「梨バーガー」といったユニークな商品で再び注目を集めているが、昨年には「はみでる!アジフライバーガー」や「とろけるチーズカレーバーガー」が発売されていたし、更にさかのぼると「エビカツチキンバーガー」、「厳選ナチュラルチーズベーコンバーガー」などもあった。
もしかすると、54年前の創業当時のスタッフが今もいれば、名前の由来にまつわる面白いエピソードを聞けたかもしれない。しかし、歴史が長くなるにつれて、そうした記憶は徐々に失われていくものなのだろう。残念だが仕方がない。
ゾウのロゴマークとタイ語の「ドムドム」
Aさんは、「ゾウが鼻でクンクンと臭いをかぐから、この名前やロゴの起源や意味はそこら辺にあるのかもね!たぶんそうだよ」と笑顔で話していた。たしかに、ゾウの鼻は嗅覚が鋭く、クンクンと臭いをかぎながら食べ物を探す。タイ語の「ดมดม(ドムドム)」とゾウのマークが、偶然にもそんな共通点を持っていたとしたら、多くの人はなるほど!と納得するにちがいない。
歴史が忘れ去られても、新しい発見やユーモアを楽しむことができるのが、ドムドムバーガーの魅力の一つなのかもしれない。次回、ドムドムバーガーに足を運んだときは、その名前に隠された謎に思いを馳せてみるのもいいだろう。
54年経っても続くドムドムバーガーの挑戦
1970年に日本初のハンバーガーチェーンとして誕生したドムドムバーガーは、ただ歴史が長いだけではなく、今後も革新的な商品を生み出し続けていくだろう。最近では「カニバーガー」や「梨バーガー」といった、他のチェーンでは見かけないようなユニークなメニューが注目を集めているが特に「カニバーガー」は、丸ごとのカニを使用したインパクトのある一品で、多くのメディアでも取り上げられた。その理由は、珍しさと独自性、豪華な食材、季節感と新鮮さ、ファーストフードとの意外な相性といったところに集約されるだろう。
蟹をメインにしたバーガーは、他のファストフード店では見かけない。だから新しい味覚体験を求める人々の支持を集めるだろうし、カニというフレンチでよく使われるしっかりとした風味が楽しめる贅沢な高級具材の持つ甘さや旨味がパンとの相性抜群で、サクサクの衣が蟹の柔らかさを引き立て、そこに特製のタルタルソースなどが旨味をさらに引き立てていると言える。
カニバーガーは、ドムドムバーガーの「ユニークで面白いメニューを作りたい」というチャレンジ精神が詰まった商品で、他のファストフードチェーンでは思いつかない斬新なメニュー作りを志向するする姿勢が、ドムドムバーガーのファンに支持されているのだ。
こうした斬新な商品開発により、ドムドムバーガーは昔からのファンだけでなく、新たな世代の客層にの取り込みにも成功している。もしかすると、ゾウの鼻で「クンクン」と臭いをかぐように、新しい商品が放つ独特な香りや味わいを着実に探求する楽しさを追求する姿勢が、長年にわたる人気の秘訣なのかもしれない。
像(ゾウ)という動物は長生きだ。
ドムドムバーガーが1970年に生まれて、今に至っているなら、今後もずっとゾウのように長生きして続いてほしいものだ。
関連リンク
・諒の肩幅POCOCHAをインストールすればカニバーガーの紹介も見れます。
・ドムドムバーガーはなぜ蘇ったのか(IT media ビジネスの記事)
・ドムドムの落日とマクドナルドとの深い因縁 (東洋経済オンライン)
・日本で最初にオープンしたバーガーチェーン「ドムドムバーガー」(クックドア)
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