もくじ
1. RouteGadget3(ルートガジェット3)の概要
RouteGadget3は、オリエンテーリングの競技者が自分のルートを記録・分析し、競技後に振り返りを行うためのツールです。2D地図だけでなく、3D地図を使った解析が可能で、特に地形の高低差を視覚的に理解しやすい点が特徴です。競技後の振り返りだけでなく、戦略の改善や教育的な場面でも活用されています。
最新バージョンのRouteGadget3では、インターフェースの改善やモバイルデバイス対応など、初心者でも扱いやすい設計となっています。以下では、RouteGadget3の歴史や日本での利用例を含め、基本的な使い方を解説します。
2. 日本国内での利用例
RouteGadgetは日本国内でも利用されています。例えば、オリエンテーリング用地図の製作で知られる坂野山遊地図企画のサイトでは、RouteGadget2が活用されています:
- 坂野山遊地図企画: https://shoyabanno.com/routegadget//rg2/
また、東京大学OLKのサイトでもRouteGadget2が使用されており、過去の競技結果が公開されています。ただし、最近の更新頻度は低いようです:
- 東京大学OLK: https://comp.olk.jp/38/rg2/
日本では主に学生競技団体や地図製作会社で利用されており、デジタルツールの普及を支える役割を果たしています。
3. RouteGadget3 サンプル動画
以下の動画では、RouteGadget3を使った3D地図上でのルート解析の流れを紹介しています。特に、複数の競技者のルートを同時に表示する様子をご覧ください。
公式サイト: RouteGadget
2 RouteGadgetの歴史と特徴
、RouteGadgetは2000年代初頭にフィンランドで開発されました。当初は手書き入力が主流でしたが、GPSデータの活用やHTML5対応などを経て進化し、現在のRouteGadget3に至ります。
RouteGadgetの歴史
- 初期のバージョン(2000年代初頭)
- RouteGadgetは、フィンランドのHannu Wegelius氏によって開発されました。
- 主な目的は、オリエンテーリング競技後に選手が自分の走ったルートを手書きまたはGPSデータを使って地図上に表示し、解析することでした。
- 最初のバージョンはWebベースのアプリケーションで、機能はシンプルでした。
- アプリの進化
- 時間の経過とともに、多くの新機能が追加されました。
- GPSデータの統合: 初期バージョンでは手書きのルート入力が主流でしたが、GPSデータの活用が進み、選手がルートをWEBから自動的にアップロードできるようになりました。
- 地図の拡張: 地図データの形式やフォーマットが多様化し、ユーザーがより柔軟に地図をアップロード・利用できるようになりました。
- RouteGadget2の登場
- RouteGadget2(RG2)は、2010年代に登場しました。これは、オリジナルのRouteGadgetをブラッシュアップし、よりモダンなユーザーインターフェースや性能を備えたバージョンです。
- 特徴として、HTML5を利用したブラウザ対応やGPSデータの読み込み速度の向上が挙げられます。
RouteGadget3の登場
- RouteGadget3(RG3)は、ルートガジェット2がさらに進化した最新バージョンであり、特に以下の点で旧バージョンと差別化されています:
- 3Dモードの導入:
- 2D地図だけでなく、3D地図上で競技者のルートを表示可能。
- 地形の高低差や地形情報を視覚的に分析可能。
- より直感的なインターフェース:
- 管理者と参加者の操作が簡素化され、初心者でも使いやすい設計。
- モバイル対応:
- モバイルデバイスからのアクセスや操作が容易になっています。
- 3Dモードの導入:
RouteGadget3(ルートガジェット3)の活用場面
- オリエンテーリング競技終了後のルートの振りかえり
- 選手が自分の走行ルートを地図上に入力。
- 他の選手のルートと比較し、戦略やルート選択の優劣を検討できる。
- 教育やトレーニング
- オリエンテーリング初心者や学生に対する教育ツールとして活用できる。
- トレーニングの記録と振り返りにも利用可能。
- イベントの共有
- 大会やイベントの地図データをオンラインで共有し、競技者が結果を振り返るプラットフォームとして使用可能。
RouteGadget3(ルートガジェット3)の位置づけ
- RouteGadget3は、従来のRouteGadgetやRouteGadget2を進化させたバージョンであり、3Dモードや最新のWeb技術を取り入れた次世代ツールです。
- 現在では、オリエンテーリング競技後の解析ツールとして広く認知されていますが、過去のバージョンからの進化を踏まえ、特に視覚的な表現やユーザー体験が向上しています。
結論:
RouteGadgetは昔から存在し、進化を遂げながら現在のRouteGadget3に至っています。特に最新の3D機能は、旧バージョンにはなかった特徴であり、現代のオリエンテーリング解析ツールとしての地位を確立しています。時代と共に様々なオリエンテーリングのアナリシス用ツールがスマートフォンやウェブ上で公開されているが、最大のRouteGadget3の特徴は無料だということである。
LiveLoxもオリエンテーリングルート解析として有名なツールだが、一時期は複数の競技者のルートを同時に比較する機能なども無料で公開されていたのだが、現在ではそういった機能は有料化されている。
RouteGadget3は、他の解析ツールと異なり、全機能が無料で利用できます。特に、複数の競技者のルートをリアルタイムで比較する機能は、現在では無料で利用できる唯一のツールです。
3. RouteGadget3(ルートガジェット3)の利用にあたり必要な準備
2.1 ソフトウェア
- RouteGadget3本体: ダウンロードリンク
- ファイル名:
RG3.zip
- 推奨ブラウザ: Google ChromeまたはMozilla Firefox。
3. インストール手順
3.1 サーバーへのインストール
- ダウンロードした
RG3.zip
を解凍します。 - 解凍したフォルダをWebサーバー(PHPが利用可能な環境)にアップロードします。
- サーバーのブラウザで以下のURLにアクセスします:
https://[あなたのサーバードメイン]/admin/admin.php
- 管理者画面の指示に従い、初期設定を行います。
3.2 初期設定
- イベントフォルダの作成: イベントごとにフォルダを作成し、地図やコースデータを配置します。
- 管理者アカウントの設定: ユーザー名とパスワードを登録し、セキュリティを確保します。
- 表示言語の選択: 日本語対応はありませんが、英語で利用可能です。言語ファイルを日本語化することも可能。
4. 基本機能の使い方
- 地図データのアップロード: PNG形式の地図と、その対応するPGWファイルをアップロードします。
- コースデータの追加: GPX形式のコースデータを作成し、地図データと一緒にアップロードします。
- 参加者リストの登録:
runners.zip
形式で参加者情報をアップロードするか、手動で入力します。
5. 次回予告
次回の記事では、以下の内容を詳しく解説します:
- 日本国内での3Dモデル作成方法。
- 国土地理院からのDEMデータ取得方法。(ドローンを使ってLiDARLiDAR(Light Detection and Ranging)光による検知と測距)データでデータを取得する方法もあるが、無料ではないため省略する
- QGISを使った点群データ(LAZファイル)の作成手順。QGISでなくても有料のGISソフトを使う方法もあるが、機能的にすぐれており、無料のためQGISで説明する
- Geo-referencingの基礎と応用。
今後の公開予定
- 第2回: DEMデータの取得と準備
- 第3回: QGISでの点群データ作成
- 第4回: Geo-referencingの実践
- 第5回: 3Dモデルの作成
なるべく詳しく書く予定ではあるが、ただ読んだだけではうまくできないだろうから、なるべく必要なソフトを揃え(すべて無料)手を動かしながらやってみてほしい。
この記事を参考に、是非ルードガジェット3(Routegadget3)をあなたのサーバーにインストールしてみてください。次回の記事では、さらに高度な利用方法を解説しますのでお楽しみに!特にルートガジェット3で必須となる3Dモデルを作成する方法を詳しく解説します。国土地理院のDEM(数値標高モデル)データの取得から、無料ツールQGISを使った実践的な手法まで、初心者でも無理なく実践可能な方法を紹介する予定である。
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