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富士フィルムFinePix HS-10の動画で音が出ない問題の解決法

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富士フィルムのFinePix HS-10という、2010年に発売されたデジカメは主に静止画像を撮るために使っていた。光学ズーム30倍というのが気に入って購入したものだ。このカメラを持ち歩いてよく出かけた。まさに必須のトラベルアイテムだった。
しかし、スマートフォンのカメラの機能が向上して最近はこのカメラを使わなくなってしまった。

久しぶりに、このFinePix HS10を使って動画を撮影して、Macに取り込んで編集しようとして、開いてみると、映像はでるのだが、音がでない。
なぜだろう?
動画の拡張子は、「.mov」である。
Macに標準で付いているQuickTime Playerを使って再生しているので問題はないはずだ。

FinePix HS10で再生すると音は出るのでファイルに音声トラックは含まれている。

MacのQuickTime プレイヤーで音声が出ないのだ。
ファイルに問題があるとしか考えられない。

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ファイル情報をムービーインスペクターで確認

早速QuickTime プレイヤーのムービーインスペクターでファイル情報を確認してみた。すると、

QuickTimeプレイヤーのムービーインスペクターで情報を確認

何か変だ。音声コーデック情報が表示されない。デジカメ動画の保存形式が古いのか?
MacのQuickTimeプレイヤーはバージョン10.4(928.13)OS X High Sierraに入っている最新版を使っている。

確か古いバージョンがダウンロードできるはずと思ってAppleのサイトをみると、やはりあった!

ダウンロード - QuickTime Player 7(Mac OS X v10.6.3 またはそれ以降) - Apple サポート (日本)
QuickTime Player 7 は、 Snow Leopard および OS X Lion 上で QTVR、対話型の QuickTime ムービー、MIDI などの古いメディアフォーマットをサポートしています。

QuickTime7である。
以下のように書かれている。

QuickTime Player 7 は、 Snow Leopard および OS X Lion 上で QTVR、対話型の QuickTime ムービー、MIDI などの古いメディアフォーマットをサポートしています。

なるほど、これなら再生できるかもしれない。早速ダウンロードして音声が出なかった動画を再生すると、見事に音が出た。
ムービーインスペクターで確認してみると、

QuickTime7のムービーインスペクターで動画ファイル情報を確認した

リトルエンディアン ステレオ 48000hzと情報が表示された。
しかし、疑問はまだ残る。通常ならAACなどオーディオコーデックの名前が表示されるはずである。コーデックが表示されない。それほど特殊なコーデックを使っているわけがない。
QuickTime7では音声が出力されたのだから。

FinePix HS10の動画ファイルの音声コーデックは?

メディアファイルの構造を調べるのによく使うのが、

まず「真空波動研」である。

生産物

早速調べてみた。

真空波動研でファイル情報を見る

Singned/two’s complement(Little) 48.00Khz 16bit 2ch 384.00kb/s Apple Quicktimeとある。これがコーデックだろうか?Littleというのはバイトオーダーでリトルエンディアンを表しているのだろう。

Singned/two’s complementは符号付き2の補数だ。コーデックのアルゴリズムに関連がありそうである。

では、「MediaInfo」はどうか?

MediaInfo
MediaInfo is a convenient unified display of the most relevant technical and tag data for video and audio files
MediaInfoでファイル情報を見る

真空波動研と同じくLittle(リトルエンディアン)、Singed(符号付き)の文字が見える。

真空波動研、MediaInfo、共にそれなりのファイルの音声情報は表示された。しかし、まだ調べる余地はありそうだ。

VLCを使って動画ファイル情報を調べたらコーデックの正体がわかった

VLCメディアプレイヤーでもメディア情報は確認できる。

オープンソースのベストなプレイヤー VLCメディアプレイヤーのオフィシャルダウンロードです。 - VideoLAN
オープンソースのベストなプレイヤー VLCメディアプレイヤーのオフィシャルダウンロードです。
VLCメディアプレイヤーでファイル情報を見る

ばっちりとコーデック名が表示されている。その名は「SOWT」

SOWTとはAppleの初期のオーディオファイルフォーマット「AIFF」をベースに作られたコーデックである。

AIFF(Audio Interchange File Format)は非圧縮だったため、AIFF-Cという圧縮に対応するフォーマットが作られた。その最初の圧縮コーデックがSOWTだった。この段階では単にバイトオーダーをビッグエンディアンからリトルエンディアンに変えただけで、実際には非圧縮なので疑似圧縮コーデックとも呼ばれるらしい。その後fl32とかALAWなど様々な圧縮コーデックが使われるようになった。
しかし、現在ではAppleの音声コーデックはAAC(Advanced Audio Coding)が主流である。

SOWTオープンソースとなっている。このあたりが以前のデジタルカメラ動画のオーディオコーデックに使われた理由なのだろう。

現在のMac OSX High SierraのiTunesを使って、AIFF形式でCDを取り込み、情報をVLCで表示させると以下のようになる。

iTunesで取り込んだAIFF形式の音声コーデック情報

コーデックは「TWOS」となっている。

さきほどのMacのQuickTimeプレーヤーで音声が出なかったコーデック「SOWT」を逆さまに綴るとTWOSとなる。つまりバイトオーダーがビッグエンディアンなのだ。リトルエンディアンとバイトオーダーが逆ということでTWOS。

現在Windows版のQuickTimeプレーヤーはAppleによるサポートは終了しており、ダウンロードはできるものの更新されることはない。セキュリティの関係でWindowsでのQuickTimeの使用は推奨されていないので注意が必要である。

2016 年 4 月、United States Computer Emergency Readiness Team は、Alert TA16-105Aを発令している。

Apple Ends Support for QuickTime for Windows; New Vulnerabilities Announced | CISA

内容はWindowsユーザーはQuicktimeをアンインストールすることを勧告するものとなっている。

WindowsユーザーはQuickTimeがなくてもWindowsメディアプレーヤーでAIFFのSOWTコーデックは再生できるので問題はないだろう。

なおAIFFフォーマットの詳しい仕様については以下のサイトが参考になる。

301 Moved Permanently

またQuickTimeというのはテクノロジーの総称であり、Macに付属しているQuickTimePlayerとダウンロードできるQuickTime7とはまったく別物であることにも注意したい。

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