多くの職業や行事では日常的には必要とされないかもしれない白いワイシャツだが、ビジネス会議、特別な社交イベント、またはフォーマルな式典など、重要な機会にはほとんどの人が適な選択として白いワイシャツを着用する。
白いワイシャツはその清潔感が魅力だが、同時に汚れが目立ちやすいという大きなデメリットも持ち合わせている。白いワイシャツを着用する多くの人々が直面するこの問題に対する簡単で効果的な解決策を紹介しよう。
もくじ
ワイシャツの襟の汚れ方を観察してみると
ワイシャツの襟が汚れやすいのは、多くの人が気づいていることではある。襟は、襟台(シャツの襟の内側の首周りに接する立ち上がった部分)と襟本体から作られている。襟台の内側が汚れやすいと考える人が多いが、実際の汚れ方を写真に撮って観察してみるとどうだろうか?
襟が汚れた白いワイシャツをよく観察すると、襟台の内側よりも、襟台から折り返した襟の折り目の上部の汚れ方がひどいことがわかる。汚れの成分は主に皮脂ではあるが、ここに皮脂汚れがつくのは、この1番汚れている部分に皮膚との強い摩擦が生じているということだ。
首は左右を見るときには、左右に回転するが、左右だけでなく、上や下を見たりするときも動く。特に上を見て、首を回転させた場合、襟の折り目の上の部分が強い摩擦で首の皮膚と接している。この結果、襟台の内側よりも、襟台から襟が折り返されて硬くなった部分に強く皮膚が押し付けられて皮脂汚れが付着する。
スタンダードな方法で襟の汚れを落とせるのか?
スタンダード、つまり一般的な洗濯方法と言っても、洗濯機で普通の洗剤を使って洗うのではなく、「襟汚れ」「落とす」などのキーワードで検索して見つかる方法である。
上記リンク以外にもたくさんの記事がインターネット上には出ている。
だいたいワイシャツの襟汚れ落としに共通して使われているのが以下の
「酸素漂白剤」「重曹」「セスキ炭酸ソーダ」の3種類だった。
まず、酸素系漂白剤をお湯に溶かしペースト状にし、重曹を2:1で混ぜ合わせる。そして、汚れがひどい部分に直接塗布し、上からアイロンのスチームを当てるという方法である。
酸素漂白剤と重曹による汚れ落としの結果は?
写真を見る限り、洗濯前後で襟の汚れの状態にはある程度の違いが認められはする。特に洗濯後の画像では、襟の白さが少し増しているように見えはするが、完全に汚れが取り除かれたわけではないことは明らかである。酸素系漂白剤と重曹の組み合わせは、軽度から中度の汚れには効果的なのだろうが、頑固な汚れや長期間の蓄積された汚れには限界があることが示された。
家庭で落とせないワイシャツの襟汚れはプロにまかせるしかないのか?
ワイシャツの襟の汚れは、繊維の奥深くまで浸透しているため、簡単には落とすことができない。家庭で工夫して落とせるのは、中レベルの汚れまでと考えるべきだ。
やはり、専門業者に依頼するのがよい。ワイシャツの襟汚れに関して、専門業者を検索してみる。
染み抜き専門のクリーニング店は確かに、ネット検索すると、何軒か存在する。家庭では対応できない汚れも落としてくれそうだ。
ワイシャツの襟の汚れを業者に依頼するといくらぐらい料金がかかるものなのか?
業者により料金は異なるが、クリーニングに、オプションとして襟汚れや、黄ばみ落としの料金が記載されていることが多い。だいたいクリーニングの基本料金プラス染み抜きオプションで1300円から2000円ぐらいと見ておけば良いだろう。
日数も通常より長い期間かかることが多い。午前中にクリーニング店に持っていけば夕方には仕上がっている店もあるが、染み抜きはそんなに短時間ではできないし、お金もかかる。
クリーニング店の有料オプションの染み抜き効果は?
ためしに、クリーニング店がおこなっている有料染み抜きにワイシャツを2着出してみた。
まずは、染み抜き前の写真
そして、有料染み抜きオプションをつけてクリーニングに出してみた。20日間ほど時間はかかったが、出来上がり具合というか、汚れの落ち具合は以下の通り。
2着目の写真も、染み抜き前後の状態を比較してみる。
そして、同様に染み抜き処理をした後の写真
染み抜きを業者に依頼すると、それなりに時間とお金はかかるが、ある程度まではシミが抜けるようである。
しかし、クリーニングから戻ってきたワイシャツには以下のような紙が添付されていた。
染み抜きには、限界があり、過度な染み抜き処理は繊維を痛めたり、色落ちの原因となるので控えた方が良いとのことだ。
たしかに、写真の程度なら1000円支払って染み抜き処理を依頼した価値はあったと思う。
ちなみに、今回染み抜きを依頼した店舗は、以下のお店である。
「クリーニング専科」
ワイシャツの襟汚れの原因は襟の構造にある。
ワイシャツの襟は、他の部分の生地に比べて固くできている。襟の生地が硬いだけでなく、襟の中に、接着芯という素材が入っているからだ。
この接着芯は、ワイシャツの襟が縫製されているので外からは見えない。しかし、ワイシャツの襟の型をキープするのに大切な役目を持っている。
一方で、この接着芯が襟に縫い込まれているために、汚れが落ちにくくなっている。
重曹、クエン酸、セスキソーダ、酸素漂白剤など、色々ためしても、今ひとつ完全に汚れが落としきれない理由も、この襟の内部の接着芯にある。色々な洗浄液が繊維の面から裏に抜けていかないからだ。
このため、繊維の奥に汚れが深く入り込んでしまい出てこなくなる。そして、頑固な汚れとなる。
ワイシャツの襟の構造を調べてみる
ワイシャツの襟の中には接着芯が入っていると書いたが、具体的にどうなっているのかは、ワイシャツにハサミで切り込みを入れて見るしかない。
さっそく、ワイシャツの襟の裏側からハサミで切り込みを入れてみた。
裏側から切り込みを入れれば、折り返された襟によって隠れるので、着用する際にも外見的問題にはならない。
切り込みを入れて捲りあげてみると、以下の写真のようになっている。
上部にマチ針が2本刺してあり、その下にある布(真ん中に少し切れ目を入れてある布)が接着芯である。この布を剥がしてから、洗浄液や洗浄剤を使えば効果があると確信した。
接着芯は貼り付けられいるのだが、アイロンで熱を加えれば剥がすことができる。
接着芯を剥がしてから、洗えば表と裏が表裏一体になるので、接着芯に阻まれて表に出てこなかった頑固な汚れも、浮かび上がらせることができる。
とりあえず、重曹をペースト状に塗って5分ほど放置して、クエン酸でつくった液をスプレーしてみる。
重曹(アルカリ性)にクエン酸(酸性)を加えると、化学反応、つまり、二酸化炭素の泡が発生し、その泡が汚れを浮き上がらせる効果がある。また、アルカリ性と酸性なので、中和の仕組みを応用したナチュラルクリーニングだと言える。
汚れを浮かびあがらせたら、普通に水洗いして乾かす。
接着芯を剥がして洗浄した効果は
まずは、洗浄するまえのワイシャツの襟の写真を載せておく。
さて、襟から接着芯を剥がして洗ったワイシャツはどうだろうか?写真で確認してみる。
かなり汚れが落ちているうえに、接着芯によってできたシワもなくなっている。新品同様とまではいかないまでも、きれいになったと言える。
切開した部分はどうやって処理するのか?
一応ワイシャツの襟はきれいになったわけだが、裏側を切開したので元に戻す作業が必要になる。その時に使うのが、布用のボンドである。
普通に接着面に、接着剤をヘラで塗ってから、布を貼り合わせて、その上からアイロンをかけて乾燥させればよい。
シミ落としできれいになったワイシャツにシミ防止加工をしてみよう。
ワイシャツの襟のシミは落とせたものの、かなりの労力がかかるし、また汚れてしまう可能性が高い。
そこで提案したいのが、シミ汚れ防止対策である。
シミ汚れ防止加工に使うのは100均グッズ
シミ汚れ防止には、100円ショップで売っている補修布と、裾上げテープだけである。
襟の中心部分を、補修布でカバーしてから、襟全体を裾上げテープでカバーするという方法である。
補修布は特に接着剤を使わなくてもアイロンだけで接着できる。
補修布は白いものを使っているが、ワイシャツの白とは色調が異なるホワイトなので、そのままだと少し違和感がある。
そこで、白系統のズボンの裾上げテープを襟全体に貼ることでワイシャツの色調に変化を加え違和感を軽減する。
裾上げテープは長めに切って襟全体の内側の根元に貼って、両端の余った部分を内側に折り返す。
完成したらハンガーにかけて確認
完成したら、着用する前にハンガーにかけて不具合がないか入念に確認しよう。
前から確認すると、襟の根元に貼られた裾上げテープの幅が均等になっているかを確認できる。左右の幅がちがうと意外と他人から見て違和感を感じるものである。
後ろは自分では見えない部分なので特に確認が大事である。ポイントは襟の縁に対して、裾上げテープが平行になっているかという点。
ズボンの裾上げテープにも、柄が何パターンもあるので、ネクタイのカラーに合わせて選ぶとよい。ネクタイと同じ色だと、見え方によってはネクタイが襟の上に巻かれているように見えることがあるので注意したい。
ズボンの裾上げテープをワイシャツの襟の汚れ防止に使う方法を今回は紹介したが、裾上げテープはアイロンで接着でき便利なのだが、柄や模様の種類はかぎられている。さらに自分好みの柄や模様、色にしたい場合は、ズボンの裾上げテープにこだわる必要はない。自分の好みに合った素材を使えば良いし、アイロン接着ができなければ、布用接着剤を使えば良い。
市販の汚れ防止対策が施されたワイシャツは本当に汚れないか?
市販のワイシャツにも、襟台の内側に汚れ防止のために、汚れが目立たない色や素材を使ったものがある。しかし、実際に自分で着て見ると、汚れるのは襟台の内側ではなく、襟台上に縫い付けられた襟本体の部分。特に折り返されて固くなった部分である。
襟台の内側の汚れは確かに目立たないが、逆に襟台の上に縫い付けられた襟本体が折り返された部分の汚れが目立つ。
また、ワイシャツ本体ではなく、襟に貼るタイプの襟汚れ防止テープも販売されているようだが、これも襟台の内側にしか効果がない。
このように市販の製品ではなかなか実現できないことが、実現できるのがDIYの強みである。
筆者が行った方法よりも良い方法を考え出して、実践した人もいる思う。ぜひ、コメント欄から教えてください。DIYは1人でもできるが、複数の人の知恵の統合によってより洗練されたものになっていくものだ。
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