遺影写真の重要性と課題
遺影用の写真の質は、故人を偲ぶ上で非常に重要である。しかし、時として手元には高画質の写真がないという事態に直面することもある。そこで今回は、フィルムスキャンを用いた高画質写真の生成についての経験を、フジフイルムのスキャナーSP-3000とエプソンのGT-X980という二機種の比較を交えつつ紹介する。
もくじ
手元の写真から遺影を作成
はじめに手元にあったのは、印画紙に印刷された集合写真であった。この写真は以下のようなものだった。ここから遺影用の写真を作ることもできそうだったが、葬儀屋によれば運転免許証からも遺影写真の作成は可能とのことだが、よく言われることかもしれないが、自動車運転免許証の写真は正直に言って人相が良いとはお世辞にもいえるのもではない。
画像の品質向上を目指して
次に、遺影に使用したい故人の顔部分をトリミングしてみると、その画像はかなりぼやけている。
AIの画像補正を試してみたものの、納得のいく結果は当然のごとく得られずNGとなった。
フィルムスキャナーのコストと利用価値
明らかにAI補正は効果があり、誰の目にも補正後の写真のほうがよく見えるだろうが、元画像の粗さが原因となって意図した結果はやはり得らえず再びNGとなった。
こうなったらフィルムスキャンを使ってオリジナル画像のクオリティアップを図る以外方法はないだろうと判断し、いろいろ検索してみたが、フィルムスキャナーは高価である。たった一回あるかないかの機会のために購入するのはコスパが悪すぎる。
上記のエプソンのスキャナーは評判もよく、価格的にも買えない範囲でもなくはないが、やっぱり高いと感じてしまう。
フジフィルムのSP3000に至っては100万円なので、メーカーに依頼するしかない。
フジフィルムのウェブサイトによると、送料込みで3000円程度で、ヤマト運輸がフィルムを引き取りに自宅にきてくれて、あらかじめ送られてきた送付サービスパックにネガフィルムを梱包して、ヤマト運輸に集荷に来てもらうだけだ。フィルムの引き渡しから、2週間ほどでヤマト運輸が自宅に配達してくれる。料金はこのときクレジットカードで支払える。着払いといっても現金払いだけではなく、モバイル端末を使ってクレジット決済ができるので便利である。しかし、料金は後払いとなる。実際に作業をしてみないとスキャン不可能だったりすることもあり、正確な料金を事前に計算し支払うと後で返金処理などが発生し面倒だからだろう。
フジフィルムのフィルムスキャンサービスのクオリティは?
まずは、おくられてきた写真のプロパティを確認すると、大きさが4322ピクセル×2409ピクセル、つまり10411698ピクセルとなり、1000万ピクセルを超えていることがわかる。画像サイズは4MBほどあるので、そのまま載せるわけにはいかないが、一応縮小したものを載せておく。
左がデジタルフィルムスキャンデータだが、リサイズしたので違いが分かりずらいかと思うので、トリミングした画像を並べて比較してみよう。
たしかにフジフィルムのSP-3000で直接フィルムからデジタルスキャンした写真と、印画紙をスキャンしたデータでは明らかに画質に差がみられる。
このくらいのクオリティであれば、AI補正の効果は期待できそうである。
フィルムスキャナーでデジタル化した写真にAI補正をかけると画質はどの程度向上するのか?
・画像のAI補正ソフトといっても多種多様であるが、複数種比較した結果今回使用した画像AI補正ソフトは
“HIT PAW AI PHOTO ENHANCER”のオンライン版である。トライアル版もあるし、サブスクリプションも一週間単位で契約できるので、使わなければすぐに解約もできる。この類のソフトやアプリは契約するのは簡単でも、解約方法が分かりづらいことが多いので、契約する前にはかならず解約方法が明確に書かれているかを確認するのが賢明である。英語でしかキャンセル方法が書かれていなくても翻訳アプリを使えば簡単にわかる。
キャンセルはこちら:
上にあげた三枚の写真を比較するとやはりフジフィルムのSP3000でフィルムスキャンした画像をAI補正したものなら何とか使えそうである。
あとは、フォトショップを使って人間の力で補正をかければ完成と言えそうである。
デジタルフィルムスキャンからAI補正、そしてフォトショップによるレタッチの結果はいかに?AI補正とフォトショップの組み合わせ
フォトレタッチは「写真に加筆・修正」する事だが、それだけではなく、背景の交換や、人物なら服装の着せ替えなども含むPhotoshopのAI画像加工技術もすごいものがあるが、今回はより作業の効率化を図るうえで、AI補正はそれ専門のソフトをつかった。
上に載せた二枚の写真は同じものだが、右側はデジタルファイルを写真屋で印刷してもらったものである。現物を見てもらうのが一番わかりやすいのだが、最終的にデジタルではなく、フォト専用用紙に印刷する場合は、写真屋の印刷とコンビニの複合機による印刷では発色が異なることを念頭に置いて、一応両方で印刷してみたほうがよい。もっともコンビニではA4サイズのフォト用紙には印刷できないので、2L版より大きな写真を印刷したいなら写真屋で印刷してもらうしかない。
集合写真や運転免許証の写真しかないくても、特にプロに依頼することなくAI補正やフォトショップなどのフォトレタッチソフトを使うことでかなりの品質の遺影写真を作ることができる。
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