シェービング愛好家の皆さんは、市場から乾電池式シェーバーが姿を消しつつあることに気付いているだろうか。環境への配慮や技術の進化により、多くのメーカーが乾電池式シェーバーの生産を終了している。しかし、一般社団法人電池工業会によると、使用済み乾電池の取り扱いに関する日欧米三極電池専門家会議の公式見解として、「アルカリ乾電池およびマンガン乾電池は、通常の使用と処分を通じて環境に大きな脅威を及ぼすことはなく、一般ゴミとして安全に処分できる」と述べている。
それでも、メーカー側には販売戦略が存在する。効率的で長持ちする充電式バッテリーの登場により、使い捨てバッテリーを使用する製品の需要は低下している。乾電池式シェーバーは、充電式シェーバーに比べて、部品点数が多く製造工程が複雑であるため、製造コストが高くなっている。このため、メーカーは製造コストを抑えるために乾電池式シェーバーの製造を縮小または中止する傾向にある。これは、新たなシェービング体験を求める旅に出る絶好の機会である。乾電池式の便利さとは別れを告げ、次なる最適な選択について検討する必要がある。
もくじ
フィリップスの乾電池式シェーバーPQ208とPQ209/17が製造終了
フィリップスの乾電池式シェーバー、PQ208とPQ209/17の製造終了は2020年頃に発表され、そのニュースは数多くのユーザーを驚かせた。これらのモデルは、使い勝手の良さと携帯性の高さで広く支持を受け、コンパクトなデザインと優れた性能でユーザーから高い評価を得ていた。型番は異なるものの、PQ208とPQ209/17は実質的に同一の製品であり、2013年9月に販売が開始されたPQ208から、2017年2月に発売されたPQ209/17へと更新したユーザーも多いため、最長で10年以上使用を続けているユーザーも存在する。これらのシェーバーは製造が終了しても、替刃が引き続き販売されており、適切にメンテナンスを行えばモーターの劣化による不具合さえ発生しなければ長期間の使用が可能である。
替刃については、
正規の替刃、HQ56/55はamazonなどで販売されており、PQ208およびPQ209/17に元々装着されているClose Cutシステムと同じものである。以前はClose Cutシステムの替刃はの販売は無く、互換性があるLift and Cutシステムの替刃を利用しているユーザーもいたが、この替刃は販売が停止されたわけではなく、HQ56/51としてAmazonで入手可能である。
ただしPHILIPS社の公式ホームページによると、HQ56/55,HQ56/51の両方が替刃として掲載されており、どちらもClose Cutシステムとなっている。HQ56/51が現在は製造停止になっているからだ。
現在、市場にはClose CutとLift and Cutの両方のシステムの替刃が流通しており、どちらも購入可能であるが、Lift and Cutシステムは将来的に市場から姿を消す可能性がある。Lift and Cutタイプの刃を好むユーザーは、こちらで早めの購入を検討することが推奨される。
マクロス社のAllan’s MEBM-42はPQ208やPQ209/17の代替品になる?
マクロス社のAllan’s MEBM-42がフィリップスのPQ208やPQ209/17の代替品となり得るかについて検討する際、いくつかの重要な点を考慮する必要がある。外見上、Allan’s MEBM-42はフィリップスのこれらのモデルに非常に類似しており、共に単三乾電池2本で動作し、回転式の刃を採用している点も共通している。この類似性は、MEBM-42がフィリップスの製造終了したシェーバーの代替として検討される理由の一つだ。
以下の写真のようにマクロスのAllan’s MEBM-42はPQ208やPQ209/17に非常によく似ている。
見た目はほとんど同じだし、両方とも単三乾電池2本で動くことや、回転式の刃を使用していることも同じである。
しかし、シェービングヘッドの内部構造に注目すると、顕著な違いが明らかとなる。MEBM-42は、5枚の刃が装備された単一のユニットを採用しており、これがヘリコプターの羽のように回転する設計だ。この構造により、回転軸の中心と外周で刃の回転速度に差が生じ、中心近くのヒゲを効率的に剃ることが困難になるリスクがある。回転速度の遅い中心部分ではヒゲをうまく切削することができず。その抵抗により回転速度が落ちてしまうことがある。
一方、フィリップスのPQ209/17とPQ208は、回転軸の中心付近に刃がなく、刃は回転の外周部分にのみ配置されている。この設計では、15個の刃が外周で高速に回転し、網刃も外側にのみ存在するため、ヒゲを無駄なく効率的にカットする。さらに、外刃と内刃を固定するリテイナーがクッション性を持つことで、肌の細かな凹凸にも適応し、快適な剃り心地を提供している。
メンテナンスの容易さでは、Allan’s MEBM-42のシンプルな構造が利点となるが、フィリップスのモデルはやや複雑なプロセスのメンテナンスが要求される。しかし、剃り味の良さという点では、フィリップスのシェーバーが明確に優位に立っている。
以上の比較から、Allan’s MEBM-42はフィリップスのPQ208やPQ209/17と外見や基本的な機能が似ているものの、シェービング性能とメンテナンスの面で異なる特性を持っていることがわかる。代替品としての選択にあたっては、これらの違いを踏まえた上で、ユーザー自身のニーズに最も合致するモデルを選ぶことが推奨される。
製造終了がもたらすフィリップスとマクロスのモデルの価格高騰の現状
フィリップスの定番モバイルシェーバー、PQ208とPQ209/17の製造終了は、多くのユーザーに衝撃を与え、その結果、インターネット上で販売されている在庫品の価格が高騰した。製造時の価格から見ると、約7倍にまで上昇している状況である。これらの製品が乾電池式であることの手軽さ、旅行や出張時の携帯の便利さ、そして独自の刃の構造による優れた剃り味が、製造停止というニュースによって価格が高騰する大きな要因となった。
一方、マクロス社のAllan’s MEBM-42も製造を停止しているが、価格の高騰は見られない。このモデルに対する需要が少ない理由の一つとして、替刃が販売されていない点が挙げられる。さらに、Allan’s MEBM-42における切削性能が特に際立っていないため、製造終了後も価格が高騰しなかったと考えられる。この事実から、単に乾電池式であるという特徴だけが需要を生んでいるわけではなく、製品の切削性能が製造中止に伴う価格高騰に大きく関連していることが明らかである。
従って、バッテリー駆動や回転式の刃という特徴だけを基準にシェーバーを選ぶのではなく、切削性能やメンテナンスの容易さなど、より多角的な視点から最適な選択を行う必要がある。
フィリップスのPQ190/16はPQ209/17,PQ208の後継モデルとなりうるか?
フィリップスの乾電池式シェーバー、PQ208とPQ209/17が市場から姿を消し、これにより多くのユーザーが影響を受けている状況である。これらのモデルが提供していた手軽さと性能のバランスは、特に旅行や出張時の携帯用シェーバーとしての需要に応えており、その製造終了は価格の高騰を招いている。このような背景のもと、代替品を求めるユーザーの声が高まっているが、その主な理由は、充電式シェーバーでは充電に時間がかかることや、常に充電できる環境があるわけではないからである。
一方で、充電式シェーバーが提供する利便性には、電池交換の必要がなく、予備のバッテリーを持ち運ぶ必要がないという明確なメリットがある。この点を踏まえ、乾電池式と充電式の違いを理解し、個々のライフスタイルに最適な選択をすることが求められる。
フィリップスは、PQ190/16という回転式コンパクトシェーバーにおいても、技術力を発揮し、使い心地やメンテナンスのしやすさでPQ208やPQ209/17と比較しても一定の評価を得ている。しかし、ユーザーレビューを見ると、PQ209/17やPQ208に対する明確な優位性を見出すことは難しく、多くのユーザーがこれらのモデルを高く評価していることが伺える。
この分析から、PQ190/16がPQ208やPQ209/17の直接的な後継モデルとなり得るかについては、ユーザーのニーズや使用環境によって異なるといえる。乾電池式シェーバーの便利さを重視するユーザーにとっては、PQ190/16も一定の選択肢となり得るが、PQ209/17やPQ208に対する明確な優位性を示すには至っていない。したがって、ユーザーは自分の使用条件に合ったシェーバーを慎重に選ぶ必要がある。
乾電池充電式シェーバーの便利さとは
乾電池式シェーバーは、電源がない場所でも使用できる便利なアイテムである。乾電池式と乾電池充電式の主な違いは、後者が再充電可能な電池を使用することにある。これにより、繰り返し使用することが可能となり、経済性と環境への配慮の両面から、より優れた選択肢となる。
シェーバーには、電源タイプによって3つのカテゴリーが存在する。一般的な家庭用コンセントから充電する「充電交流式」は、常にフルパワーでの使用を可能にする。一方、モバイルバッテリーから充電可能な「USB充電式」は、回転トルクやパワーがやや劣る場合があるが、携帯性に優れる。そして、「乾電池式」は、旅行や出張時の持ち運びに便利である。
充電式シェーバーには、家庭用コンセントから充電するタイプが主流であるが、USB充電式も存在する。USB充電式の製品は価格が手頃であり、例えばDC2.4V 600mAhの内蔵ニッケル水素充電池を持つものがある。しかし、充電式であっても、内蔵された電池は無限に充電できるわけではなく、電池の充電性能が低下しても、電池の交換が不可能な設計となっている点に注意が必要である。内蔵電池が消耗し、フル充電しても駆動時間が短くなったり、充電が全くできなくなった場合は、製品の買い替えを検討しなければならない。このように、シェーバー選びでは、使用状況に応じた電源タイプの選択が重要となる。
上記の製品などは、USB充電式で価格も手ごろだ。
PQ209/17,PQ208の後継となりうる機種はこれだ!
フィリップスのPQ209/17とPQ208が広く支持された理由は、単に回転式で乾電池式であることだけではなく、その卓越した切削性能にもある。市場では3枚刃のロータリーヘッドを持つシェーバーが主流となっており、その剃り味の良さは広く認められている。しかし、携帯性の観点から見ると、大型のシェーバーは家庭での使用に適しており、持ち運びには不便である。
切れ味、剃り味、コンパクトさ、そしてバッテリーの利便性を考慮すると、PQ209/17とPQ208の完璧な代替品を見つけるのは難しいように思える。しかし、2ヘッドの制約を取り除き、シングルヘッドの回転式シェーバーを選択肢に加えると、マクセルイズミの「CLeancutシリーズ」乾電池式IZD-C289が注目される。1980年に発売されたこのロングセラーモデルは、40年以上にわたりユーザーからの支持を集めており、製品の品質を証明している。小さなヘッドと3つの回転する刃は、優れた回転性と機動性を提供し、日常の持ち運びに適している。ユーザーレビューでも高い評価を受けている。
ただし、IZD-C289の購入を検討する際の懸念点として価格が挙げられる。販売価格は3000円台の後半であり、PQ209/17やPQ208の製造時期の価格と比較するとやや高価である。
この点に関して、価格と性能を比較するために、パナソニックのスピンネット白ES6500P-Wを検討する価値がある。このシングルヘッドの乾電池式シェーバーは、発売以来のロングセラーであり、Panasonicの公式サイトやAmazonで1000円以下の手頃な価格で販売されている。乾電池式シェーバーの将来的な販売停止を懸念しているユーザーにとっては、複数購入しておくことも一つの選択肢となるだろう。
マクセルIZUMI IZD-C289とパナソニック スピンネット ES6500P-Wの比較:バッテリーと刃の特性
外観とデザイン
マクセルIZUMI IZD-C289は、スリムでモダンなステンレススチールボディが特徴で、シンプルさと携帯性を追求している。その洗練されたデザインは、使用しない時でもバスルームのアクセサリとして映える可能性がある。
一方、パナソニック ES6500Pは白と青のクラシックな配色を採用し、手に馴染む形状と直感的な操作が可能な大きなスイッチが特徴である。使いやすさを優先したデザインで、幅広いユーザーに親しまれている。
内刃と網刃の機能
マクセルIZUMI IZD-C289とパナソニック ES6500Pでは、内刃の構造にそれぞれのブランドの工夫が見られる。IZD-C289は肌に優しい精密な剃りを提供し、ES6500Pは効率的な剃りと耐久性に焦点を当てている。どちらのモデルも、肌を刺激せずに滑らかな剃り上がりを提供するように設計されている。刃の枚数はどちらも3枚で、適度なクッション性がある。
網刃の形状について詳細に見ると、マクセルIZUMIの網刃は細かいメッシュパターンが均一であり、パナソニックの網刃はメッシュパターンがやや大きく、中心に向かって放射状のデザインが施されている。この放射状の模様は、刃が髭を捕らえやすくするために設計されている。網刃の形状は肌に対する優しさや剃り残しを減らす設計となっている。
マクセルIZUMIとパナソニックでは、パナソニックのほうが網刃が大きい。網刃の大きさやメッシュの開口部が大きいということは、理論的には肌に対する接触面積が増え、肌を保護する機能が減少する可能性がある。これは、剃る際に肌に直接触れる刃の部分が増えるため、肌を傷つけるリスクが高まることを示唆している。特に敏感肌の人や網刃に圧力をかけすぎる人にとっては、刺激が増える可能性がある。
しかし、シェーバーの設計には多くの工夫が施されており、網の大きさが大きいからといって必ずしも肌へのダメージが大きいとは限らず、シェーバーは通常、肌を傷つけないように設計されており、大きな網目でも肌に優しい剃り心地を提供するように工夫されていることが多い。例えば、網目の形状や刃の鋭さ、刃の回転速度、肌に対する角度など、さまざまな要素が組み合わさって、剃り心地に影響を与える。
また、網目が大きい場合、刃がヒゲををより効率的に捕らえるための役割を担っているともいえる。電気シェーバーによるシェービングによる肌へ与えるダメージのレベルは、ヘッドのメッシュの細かさだけではなく、それぞれのユーザーの使用方法やシェーバーの性能品質によっても左右されるため、一概にメッシュの大きさがが肌へ与えるダメージに直結しているとは言えない。
ヘッド部分が小さい網刃の方が肌の表面の微妙な起伏に沿ってヘッドをスムースに動かしやすいというメリットはあるだろう。小さい面積の網刃は、より肌への密着度が高い細かなヘッド部分の動きを可能にし、顔のヒゲのある部分の微妙な曲線や狭い部分に対してより精密なシェービングを可能とする。これは、鼻の下や顎の骨のラインなど、細かい切削作業が必要なエリアを剃る際に特にアドバンテージがある。
また、小さい面積の網刃は、一度にカバーする面積が小さいため、肌への圧力が分散され、結果的に肌への負担が減少する。これにより、肌への刺激が減り、肌荒れやカミソリ負けのリスク低減が期待できる。
ただ網刃の大きさに関わらず、シェーバーのトータルな設計思想、刃の鋭利さ、ユーザーの剃り方の癖、肌の状態などが剃り心地に大きく影響するため、網刃の大きさは剃り心地の一要素に過ぎず、最適なシェービングは多くのファクターによって決定されるものである。
バッテリー性能
マクセルIZUMI IZD-C289は単二乾電池1本で動作し、付属のスペーサーを利用することで、単三乾電池1本でも使用可能である。これはユーザーにとっては非常に便利である、特に旅行や出張時に。対照的に、パナソニック ES6500Pは単三乾電池2本を使用し、より強力なパフォーマンスと長い使用時間を実現する。単三乾電池は入手しやすいため、パワーを求めるユーザーにとっては重要な選択肢となる。
総合評価 PQ208とPQ209/17の後に残された選択肢はこれだ!
マクセルIZUMI IZD-C289
- バッテリー: 単二または単三乾電池1本で動作。エコフレンドリーでコスト効率も良い。
- デザイン: スタイリッシュでモダン、携帯に便利。
- 網刃: 細かい毛や短い毛のキャッチに優れる。
- 内刃: シンプルでメンテナンスが容易。
- 使用感: 軽量で早朝や旅行中に最適。
パナソニック ES6500P
- バッテリー: 単三乾電池2本必要。乾電池一本よりもパワフルなパフォーマンスと長時間の連続使用が可能。
- デザイン: 伝統的で握りやすく、安定した使用感。
- 網刃: 長い毛や肌に優しい。
- 内刃: 多種多様なヒゲの生え方に対応するため複雑な構造となっている。
- 使用感: 安定感があり、念入りなシェービングに適している。
選択にあたっては、以下のポイントを考慮することが推奨される。
使用する場所: 近所に店がない山間部など、電池の購入が難しい場所や、充電式の電池の充電をするためのコンセントがない山小屋などの場所での使用を頻繁に行う場合、単二または単三乾電池一本だけで駆動するマクセルIZUMI IZD-C289が便利である。一方、常に電池の消耗を気にする必要がない、つまり必要なら電池はすぐに買いに行ける環境での使用であれば、パナソニック ES6500Pのような単三乾電池を二本使用する強力な回転トルクを持つモデルが適しているだろう。
シェービングのニーズ: 日々の迅速なシェービングを重視するユーザーはマクセルIZUMI IZD-C289の軽量でシンプルな構造を好むかもしれない。徹底的なシェービングを好むユーザー、特に長い毛や様々なヒゲを処理したい場合は、パナソニック ES6500Pが適切である。
コストパフォーマンス: 替刃やメンテナンス用品などにかかる費用など、長期的な視点で見た場合のコストを考慮し、購入価格だけでなく、総合的なコストパフォーマンスで評価してみることが必要である。マクセルIZUMI IZD-C289はパナソニックのES6500Pよりはどこで買うにしても二倍以上にあたる価格帯ではあるが、その耐久性と性能により長期的にはコストパフォーマンスが高いと言える可能性がある。メンテナンス費用も低く抑えられる可能性がある。替刃自体がかなり高価であり、本体を買い換えたほうがいいと判断できるような金額だったりするから、パナソニック ES6500PはIZD-C289より購入価格自体は安いが、バッテリーの消耗や替刃の交換頻度などを考えあわせた場合、意外と初期購入金額相応の価格となり、どちらのモデルが高いとは断定できない面がある。
デザインと携帯性: デザインというものは個人の好みに大きく依存する。マクセルIZUMI IZD-C289のスリムでモダンなデザイン性は携帯性と同様に魅力的である。一方、パナソニック ES6500Pは伝統的で安定したグリップ感が特徴で、疲れない長時間の念入りなシェービングに最適である。
最終的に、シェーバーの選択は個人のライフスタイル、シェービングのニーズ、使用環境、予算によって決まる。マクセルIZUMI IZD-C289もパナソニック ES6500Pも、それぞれ独自の利点を持ち、ユーザーにとって最適な選択肢を提供する。自分自身のニーズを最もよく満たすシェーバーを選ぶことが、満足のいくシェービング体験への鍵となる。
コメント