昨年の春だったが、京成立石駅近くの路地に「街壊し再開発は反対」と書かれたのぼりが立っていた。今もあるだろうか?のぼりに書かれている再開発とは具体的にどの再開発を指すのか?立石駅周辺は北口だけでなく、南口にも再開発計画がある。
「京成電鉄押上線(四ツ木駅~青砥駅間)連続立体交差事業」は既に工事が始まっている。線路の北側の商店は近隣の新店舗へ移動したり、線路から北へ30メートルのエリアは全て一旦更地になる。立石第2踏切の斜め前の店舗はすでに更地となっている。
「立石駅北口地区第一種市街地再開発事業」は2017年6月6日に都市計画決定の告知がなされている。
再開発計画は立石だけではない。東京都内でどの位の計画があるだろうか?建築専門紙の建通新聞電子版の特集記事2016年8月9日の記事「【東京都】再開発事業を追うオリンピック契機に再開発めじろ押し」によれば、
以下の32箇所の計画が載っている。2016年8月の情報だから現在ではさらに増えているかもしれない。
立石駅南口東地区(葛飾区)
新橋駅西口地区(港区)
青梅駅前地区(青梅市)
千住1丁目地区(足立区)
小岩駅周辺3地区(江戸川区)
田町駅東口地区(港区)
上板橋駅南口駅前地区(板橋区)
JR十条駅西口(北区)
武蔵小金井駅南口第2地区(小金井市)
虎ノ門1丁目地区(港区)
神田練塀町地区(千代田区)
三軒茶屋二丁目地区(世田谷区)
勝どき駅南側8、9番地区(中央区)
東金町1丁目西地区(葛飾区)
小平駅北口再開発(小平市)
南小岩六丁目地区(江戸川区)
神宮前六丁目地区(渋谷区)
常盤橋街区(千代田、中央区)
東五反田二丁目第3地区(品川区)
飯田橋(千代田区)
月島三丁目地区(中央区)
小川駅西口地区(小平市)
立石駅北口地区(葛飾区)
富士見二丁目3番街区(千代田区)
大山駅周辺西地区(板橋区)
南小岩七丁目地区(江戸川区)
中延二丁目旧同潤会地区(品川区)
豊洲二丁目駅前地区(江東区)
西日暮里駅前地区(荒川区)
飯田橋エリア(千代田区)
南池袋二丁目C地区(豊島区)
虎ノ門・麻布台地区(港区)
32箇所の中に立石が二回出てくる。
立石駅南口東地区(葛飾区)と立石駅北口地区(葛飾区)だが、立石駅南口西地区にも計画はある。「京成電鉄押上線(四ツ木駅~青砥駅間)連続立体交差事業」と合わせると4件である。
もくじ
立石駅北口地区市街地再開発準備組合
2007年10月に発足した立石駅北口地区市街地再開発準備組合のホームページによると、事業協力者として以下の2社が選定されている。
旭化成不動産レジデンス株式会社
一般財団法人首都圏不燃建築公社
旭化成不動産レジデンス株式会社のウェブサイトには、立石の現状について以下のように書かれている。
1. 密集した地域
2. 狭隘な道路
3.駅前
以上3点が写真とともにあげられている。2の狭隘(キョウアイ)とは難読語だが、都市計画においてはよく使われる言葉である。簡単に言えば狭いということだが、幅に関する定義もあるようだ。
狭隘という言葉には「気持ちの狭い」などというマイナスのイメージも伴う。
1の密集した地域は、狭い路地に古い建物がひしめき合っている写真。
3の駅前とは、ロータリーも広場もない京成立石駅北口の写真。
どれも現状の京成立石駅北口を良いイメージで表現するものではないようだ。しかし、立石駅北口地区市街地再開発準備組合のホームページの「ホットライン立石駅北口」第24号平成29年9月には、
~当日の主なご質問やご意見(商業勉強会)~ 質問) 「立石らしさ」は小型の個人店が多いところだと考えるが、共有 床(複数人で1区画を所有する)として床を取得するとそういう 店がなくなってしまうのではないか。
回答) 共有床として大きな床を取得した場合、大型の店を入れることが できますが、床をこまかく区切って小さな店をたくさん入れるこ ともできます。 また、個人店に貸すこともできます。
平成29年9月10日(日)と14日(木)に開催された第二回商業勉強会における質疑応答と一部だ。
そのなかで、「立石らしさ」というフレーズが妙に気になった。
立石らしさとは何か?
開発前の街並みは何かとマイナスイメージで表現されがちであるが、外国人には葛飾区立石の街並みはどのように映っているのだろうか?
次の「Dig Japan」というブログ記事には、とても日本的な街並みとして紹介されている。
Digging Deep Into The Old Tokyo: Tateishi
What will you find if you venture into the old Tokyo beyond Ueno, Asakusa, Nihombashi, and even Ningyocho?
You‘ll find the Arakawa river. Past it is a place called Tateishi.
Located in Katsushika Ward, Tateishi would hardly qualify as one of the most well-known Tokyo attractions. In fact, it isn’t. With its charmingly timeworn appearance, Tateishi is an unblemished, uncontaminated relic of the real shitamachi.
(古い東京を深く理解する:立石
上野、浅草、日本橋、そして人形町の向こう側の古い東京に分け入っていくと何が見つかるだろう?
まず荒川に突き当たる。そこを超えると立石という場所だ。
葛飾区にある立石は東京の有名な観光名所だとは言いづらいが、その魅力的に年月を経た外観、観光地化されていない純粋な真の下町の名残なのだ。)
まさに立石の魅力を言い当てている。
「孤独のグルメ」の井之頭五郎の台詞に「個人商店の連なり」というフレーズがあるが、それはそっくりそのまま立石に当てはまる。
立石らしさを残した再開発は可能なのか?
立石らしさが、路面店、個人商店の連なり、古い味わいのある木造建築、狭く入り組んだ路地、そこに住む人や働く人の情の触れ合いといったものだとする。確かに、それらは災害には弱い。しかし、北口に建設が予定されている高層マンションや葛飾区庁舎などの建築物と立石らしさが共存できるだろうか?
「立石らしさ」を残して欲しいという声は多い。
2019年度には本体工事着工、2022年度には本体工事竣工の予定だとのこと。
現時点では、「京成電鉄押上線(四ツ木駅~青砥駅間)連続立体交差事業」が先行して、「立石駅北口地区市街地再開発」は都市計画は2017年に決定されているが、詳細は今後詰めていくことになるだろう。
平成30年度には再開発組合設立が認可され(現時点では、立石駅北口地区市街地再開発準備組合)、地権者との施設計画検討会や商業勉強会もさらに内容の濃いものになっていくだろう。
立石駅北口再開発事業と京成電鉄押上線立体交差事業は別のものだが、立石という場所は一つである。是非とも「立石らしさ」を生かしたものにすべく工夫を凝らして欲しいものだ。
検討の主体が準備組合に移行され、
2017年6月に立石駅南口地区まちづくり連絡協議会が発足したことを踏まえたもの。
京成立石駅南口の再開発もそう遠い将来の話ではなくなってきたようだ。
2018年9月14日に京成立石駅を再度訪れた。立石駅北側の立石駅1号踏切から立石駅2号踏切までの70メートル区間は、幅約20メートルに渡り、建物の解体、撤去が完了していた。
立石駅第2踏切から立石駅の橋上駅が見渡せるようになっている。
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